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妊娠中の方の歯科治療の注意点について

◎ 妊娠の可能性がある方・妊娠中の方は大切なお子様のために恥ずかしがらずに必ず事前に申し出てください。 歯科医師と事前に十分にご相談いただき、納得した上で治療をお受けください。

◎ 下記の注意点に注意していただくと、妊娠中でもある程度の範囲内の治療を安心して受けることが出来ます。

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① 妊娠中に歯科治療がおこなえる時期

原則的に妊娠中に一般的な歯科治療を行なってはいけないという時期はありません。 治療は妊娠中期(5ヶ月~8ヶ月)であればほとんどの方が問題なくできます。 妊娠初期、妊娠後期は基本的に応急処置のみ、行いましょう。 妊娠初期2~3ヶ月間は非常に流産しやすいので過度に緊張や、或いは長時間にわたる治療はなるべくさける様にした方が良いと思います。 そういう場合はいったん応急処置にとどめておいて、後日妊娠4~7ヶ月の安定期に治療を行なう事をお勧めします。 虫歯であれ、歯肉炎であれむしろ必要があれば安定期に積極的に治療することをお勧めします。 できれば分娩までに治療を済ませておくことをお勧めします。 出産後は育児におわれたり、あるいは子供の面倒をみてくれる方がいないなどといった理由から放置し症状を悪化させてしまったり、歯の治療に関して慎重になり、受診されるのが遅れがちになる方があります。妊娠初期に歯の健康診断を受けられることをお勧めします。 また、妊娠中の歯の治療には必ず母子健康手帳を持参しましょう。妊娠中の歯の状態のページをチェックしてもらえますし、歯科医院側もあなたの妊娠中の健康状態がよくわかります。 また、妊娠初期は飲み薬に十分な注意をしてください。

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② 問診票記入の注意点について

今、妊娠何ヶ月(何週目)か?産婦人科の主治医の先生は誰か?歯科治療に関するご希望、今の状態は?問診表になるべく詳しく記入してください。妊娠が判らない場合でも、「可能性があります」等の記入や後日判明した場合は、速やかに申し出てください。

③主訴について

治療を受ける前にあなたのお口や歯の状態をもう一度歯科医師に説明しましょう。そして、今の時期にあなたの歯がどういう状態でどういった治療が必要か詳しく歯科医師より説明を受け、十分に納得してから治療を受けましょう。

④X線撮影(レントゲン)について

歯科の場合直接お腹にX線があたるという事はありませんが、防護エプロンをつけ、いくつかの注意しなければいけないポイントを守ればお腹の赤ちゃんへの影響はありません。 防護エプロンを着用し、腹部を遮蔽してX線撮影を受けましょう。 小さいフィルムのデンタル写真が基本ですが、必要に応じて全体のうつるパノラマ写真を撮場合もありますが心配いりません。 また、デジタルレントゲンがある診療所では通常のものより約十分の一程度の線量で撮影が可能です。事前にデジタルレントゲンがあるかどうかチェックされても良いでしょう。 不安な方は遠慮なく撮影を断っていただいてもかまいません。

⑤治療時の体位について

お腹の張り具合、個人差にもよりますが治療椅子をあまり倒しすぎないで楽な体位を取ってもらえるよう配慮しておりますが、遠慮なくご希望を申し出てください。 妊娠中は急な体位の変換によって立ちくらみを起こしたりトイレが近くなったり、つわりで嘔吐反射が強くなったりします。 治療椅子から立ち上がるときはゆっくり立ちましょう。また、トイレは我慢しないで治療中でもトイレに行きたいと言いましょう。 つわりがひどい時も歯科医師に伝えましょう。

⑥麻酔について

一般的に歯科麻酔は局部麻酔です。通常量の使用では母子ともに全く影響はありません。 リラックスして麻酔の処置を受けましょう。歯科医師は通常より痛みを与えない様に配慮しています。

⑦一般的治療について

妊娠中期にはほとんどの治療が可能です。一般的に妊娠中は抜歯はしないことが多いです。 どうしても緊急的に治療をすることになってもするかどうかは歯科医師とよく相談しましょう。妊婦さんの歯科治療は診療のストレス、投薬の制限などがあり、妊婦さんの独特な身体を考慮した歯科治療を心がけています。 産婦人科との連絡も密にとりながら治療を行うこともあります。

妊娠中の女性

⑧投薬について

原則として妊娠中の患者様には投薬はしません。ただし痛みがひどい場合は我慢することが逆にお腹の赤ちゃんに悪い影響を与えることがある等の場合、産婦人科の先生と相談した上で投薬することもあります。また、授乳中のお母様への投薬も出来るだけ行いません。 しかし、どうしても必要な場合は、出来るだけ大切なお子様への影響の少ないものを選択します。安全のため母乳を止めていただく場合もあります。 心配の場合は、お断りいただいてもかまいません。基本的に胎盤を通過するものは原則として使用しませんが種類によって使えるものもあります。 これらはかかりつけの先生とよく相談した上で用法・容量を必ず守って服用して下さい。また、長期にわたって服用する様な事は絶対に避けて下さい。 妊娠末期には服用しない方が望ましいという薬もあります。 また、種類によっては絶対に、飲んではならないというお薬もあります。さらにお子様の歯の色を変色させるなどといった副作用のある薬もありますから、これらも注意してください。 いずれにしても、かかりつけの先生によく相談し、充分な説明をうけた上でお薬を飲む様に心がけて下さい。

◎妊娠中のお母様のお口のケアーについて

妊娠すると、赤ちゃんにカルシウムを取られて歯がぼろぼろになる』とか『赤ちゃん一人につき歯が一本だめになる』というお話をよく聞きますが、これは本当なのでしょうか? 実はこれは誤りです。妊娠する事によって、胎児に自分の歯や骨からカルシウムが奪われてしまいその結果歯が弱くなると思っていらっしゃる方が結構いるようですが、これは間違いです。 食べ物に含まれているカルシウムが栄養として消化吸収されそれが血中に入り胎児の歯や骨を作り、赤ちゃんがお母さんのカルシウムを取ってゆくことはありません。確かに妊娠中はカルシウムが不足しがちになります。通常であれば1日約0.6gあればよいのですが、妊娠中は1日1.0gのカルシウムの摂取量が必要となります。また授乳中であれば、さらにそれ以上のカルシウムの摂取量を必要とします。妊娠している方が口の中のトラブルを引き起こしやすい理由としては、妊娠すると色々な原因から歯を悪くしがちだからだと思われます。

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その原因としては.

①ホルモンのバランスで唾液が粘り食べかすが残りやすいから。

②唾液が酸性に傾き、口の中の細菌が増えやすいから。

③食事の回数が増えて、お口の中が汚れやすいから。

④妊娠初期2~3ヶ月位の間には悪阻(つわり)によって胃酸が逆流し、口の中の酸性度がさらに高まる。結果として歯が溶けやすい環境を作ります。

⑤妊娠中期から後期にかけまして胎児が大きくなると胃が圧迫されて1回に食べられる量が少なくなります。 その結果食事や間食の回数が多くなり、結果として口の中が不衛生になりがちになます。

⑥つわりがひどくて歯ブラシを口に入れるのもいやになってつい歯磨きをさぼってしまう

⑦酸っぱいものを食べたくなるのでお口の中が酸性に傾くのも一因と思われます。

とにかく口のなかを衛生的にするように気をつけましょう!たとえば、『気持ち悪くても、必ず寝る前には歯を磨く』など、ルールを作ると実行しやすいと思います。また、歯ブラシを口に入れられなくても、ぶくぶくうがいするだけでも効果的。食べたらすぐうがいをしましょう。また、妊娠5ヶ月になったら、母子手帳を持って歯医者さんで歯石を取ってもらったり、ブラッシングの指導を受けましょう。母子手帳に「妊娠中と産後の歯の状態」というページがありますから記入していただきましょう。 実は、赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいないのです。お母さんがなめたスプーンで赤ちゃんに食事をあげたりすることで、お母さんの口のなかの菌が赤ちゃんの口に移ってしまって虫歯が発症するとも言われています。「お子様のむし歯はお母様からの感染症です」お子さんの虫歯予防のためにもマメな歯磨きを心がけましょう。女性にとって妊娠、出産は大事業です。

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